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ヒトと水の不思議【藤田紘一郎先生の水と美容VOL.1】

【水と美容vol.1】ヒトと水の不思議

私は50年近く、水の研究をしてきました。健康、美容、老化防止、そして長寿までもが水によって左右されることを知りました。水の不思議な力にはいつも驚かされます。今では、自分の命の源を知り、飲み水ですこやかな体を育てることができると確信しています。

水について40年以上の調査研究活動

水と健康

また、私は40年間以上にわたり世界の約70カ国を訪れ、世界各地の飲料水についても調査、研究をしてきました。このコラムでは、主に水と健康、水と美容をテーマとして、皆さまに今までの経験や研究結果をお知らせしていきたいと思っております。

古くから、人々は命の原点は「水」であることを知っていました。ところが、最近の日本人は、以前ほど、水を大切にしなくなったように思えます。水源が汚染され、薬品での処理された水や、浄水した水を飲まなくてはならない状況になってきました。
その結果、いろいろな生活習慣病を増やす一因となっています。薬品を使わなくても、体に良い水を飲むことで、いつまでも美しく、健康になれるのであれば、大変に安上がりな美容法、健康法といえるでしょう。
美容や健康を保つためにはどんな水を飲めばよいかについて、このコラムを進めていきたいと思っています。

人間と水との不思議な関係

人間と水との不思議な関係

第1回はヒトと水の不思議についてお話します。地球上に生命が誕生してから、35億年がたちました。最初に生命が誕生したのは、海の中でした。私たちが母親の胎内で羊水に包まれ育つのは、地球上に生まれた生命の歴史をたどっていることなのです。そして、人体と海水との主要な元素を比較してみると、非常に組成が似ています。海の存在と生命の起源に密接な関係があるということがわかります。

また、血液から血球などを除いた成分を血清といいます。その中のクロールや、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの比率が、ほとんど海水と同じです。ヒト(胎児)は羊水の中で成長する10カ月と10日間に、35億年の生命の進化を体験して生まれてくるのです。

そんな神秘的な誕生の仕方をしている人間の体は、約60%を水が占め、毎日2・5ℓの水を出し入れしています。体内の水分のうち約6%が減ると、体内での水分の調整不能となり、約10%を失うと危機的状態におちいり、約20%を失う死に至ると言われています。私たちにとって水はとても重要な働きをしていることは誰でも知っていることです。参考:健康のために水を飲もう講座

水についての正確な知識とは・・・

水についての正確な知識とは・・・

しかし、正確な知識を持って、水を飲んでいる人は少ないと思っています。私はかつて3日3晩飲まず食わずの状態で、海上を漂流したことがあります。インドネシアのアンボンから、ブル島へ海軍上陸舟艇で渡った時でした。途中で暴風雨にあい方向がわからなくなったのです。この3日3晩で唯一必要としたものは「水」でした。

空腹の時のジュースはおいしかったのですが、それより増して甘さが水を欲して駄目でした。ビールをはじめに飲んでいましたが、脱水作用があり、かえって「ただの水」が欲しくなりました。私が遭難した当時は、ペットボトル入りのミネラルウォーターなど全くありませんでした。今となっては、人間はギリギリの状態に置かれると、結局ほしいものは水だけになると分かった、貴重な体験でした。

このことがあったから、水の研究が始まったわけではありませんが、研究を進めると私たちの命は、水がなければ保つことができないだけではなく、人間の体と心の健康、そして美容まで水の作用が影響していることがわかってきたのです。

八つの水の人体に及ぼす生理的作用

では一言に水の作用といってもどんな作用があるのでしょうか。水の人体に及ぼす生理的作用には、

1.発汗作用 発汗により体温を調整します。
2.新陳代謝の促進作用 水は血液やリンパ液となり、細胞に栄養物や酸素を送り、細胞の生まれ変わりを支えています。
3.解毒・希釈作用 体内に入って有害物質を分解したり、毒性を希釈したりする作用です。
4.鎮静作用 緊張・興奮・ストレスが強いとき、脳に血液が集まり脳も興奮状態になります。その時、水を飲むと脳に集まった血液が胃に流れ気分が落ち着いてきます。
5.入眠作用 水をゆっくり飲むことによって、交感神経が優勢の状態を、副交感神経優勢に変える作用があります。
6.覚醒作用 寝起きの体の機能が鈍っているときに冷やした水を飲むとすっきりと目覚められることができます。
7.利尿・排便作用 水には老廃物を体外に出したり、浄化したり、循環をよくする作用があります。
8.血液の循環促進作用 濃度の高い血液が水を飲むことでその血液を薄め、流れがスムーズになる作用があります。

参考:水の健康学 (新潮選書) ・万病を防ぐ「水」の飲み方選び方(講談社+α文庫)・水と体の健康学(ソフトバンククリエイティブ・サイエンスアイ新書)・「体をつくる水、壊す水」(ワニブックスPLUS新書)

このように8項目の水の作用を書きましたが、水を正しく飲むことで、健康を良い状態にし、その結果美容にも良い影響が表れるのです。このコラムでは、水の効能や、水の正しい飲み方などを分かりやすく、ご説明していきたいと思っております。

藤田先生のウォーターレシピ

ウォーターレシピ01【水】
生命維持のため:ミネラルの入ったアルカリ性の水
【飲み方】
1日に1~2Lを1日、数回に分けて飲む。

著者紹介

藤田紘一郎

藤田 紘一郎(ふじた こういちろう)
1965年 東京医科歯科大学医学部卒業
1966年 第40回医師国家試験合格(代190399号)
1970年 東京大学大学院医学系研究科修了(医学博士 東京大学)
1970年 東京大学医学部助手(寄生虫学)
1972年 順天堂大学医学部助教授(衛生学)
1987年 東京医科歯科大学医学部教授(医動物学)
1995年 講談社出版文化省・科学出版賞
2000年 東京医科歯科大学院教授(国際環境寄生虫病学)
2000年 日本文化振興会・社会文化功労章および国際文化栄誉賞
2005年 東京医科歯科大学名誉教授、人間総合科学大学教授(免疫・アレルギー学) 
2015年 東京医科歯科大学名誉教授 現在に至る

主な近著に、水の健康学(新潮新書)、万病を防ぐ「水」の飲み方選び方(講談社+α文庫)、水と体の健康学(ソフトバンククリエイティブ・サイエンスアイ新書)、ボケる、ボケないは「腸」と「水」で決まる(朝日新書)、「体をつくる水、壊す水」(ワニブックスPLUS新書)、など他多数。

免責事項
本稿で引用されている専門家や組織の見解と意見は、あくまでも各自のものであり、必ずしも属する機関や協会、またディーエムソリューション株式会社の意見を代表するものではありません。
本記事に記載されている情報は、他の専門家によるアドバイスとは異なる可能性があります。特定の健康上の懸念がある場合は、個別事象の専門家に直接ご相談ください。

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