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水道水の最新浄水処理システム「高度浄水処理」の仕組み

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世界には安全でおいしい水を安定供給できない国がまだまだたくさんあります。私たちは蛇口をひねれば当たり前のようにおいしい水が流れてきます。

水道の水は飲んでもおなかを壊さないのはあたりまえ、普通においしく飲めるのもあたりまえと考えがちです。しかしこのあたりまえは高度な浄水処理技術のあるおかげなのです。

高度浄水処理水とは

浄水処理

高度浄水処理とは、かび臭いにおいや、浄水場で塩素を使うときにできるトリハロメタンという物質などを取り除くことによって、安全でおいしい水をつくりだす技術です。

この技術により、水から不快なにおい・味はなくなり、トリハロメタンも大幅に除去できるほか、病原性の微生物に対する安全対策にもなると期待されています。総合的な水道水の品質改善を図れる技術なのです。

高度浄水処理の流れ

浄水処理場

高度浄水処理の大きなポイントはオゾン処理と粒状活性炭処理です。まずはじめに、汚泥などの濁質を沈殿させた水が高度浄水施設へ運ばれます。

第1段階はオゾン処理です。カビの原因になる有機物質を分解し、"黒い水"の原因であるマンガンを酸化させます。電気で放電を起こすことによって、空気中の酸素をオゾンに変えて利用しています。

第2段階は急速砂ろ過処理です。貯水池の底にある砂の層でこして水をさらにきれいにします。第3段階でさらに、オゾンを注入して、かび臭やトリハロメタンの原因になる有機物質を分解、消毒します。

第4段階は粒状活性炭処理です。粒状活性炭とは粒の中に穴が開いている活性炭です。活性炭は目に見えないほどの小さな穴が無数に開いていて、その中にいる微生物がオゾン処理で取りきれなかった有機物や水中に溶け込んだ、臭いの元となる物質を分解します。そして第5段階で塩素処理を施し、配水池に移動します。

高度浄水処理以前の水道水

水道水

昭和中頃より、河川水・海水の劣化や環境悪化が原因となって、水道水の臭みが問題になりました。昭和40年代の東京においてピークに達し、カビ臭く、犬も飲まない中水道以下の水と酷評されるまでに至ります。江戸川の水質悪汚濁がひどく、従来の活性炭処理では歯が立たなくなっていました。

通常の浄水処理は凝集沈殿とろ過等を組み合わせて水質改善を施します。それに加えて、粒状活性炭処理、オゾン処理、生物処理を施すことにより、カビ臭・カルキ臭・トリハロメタンなどを分解・除去するのが高度浄水処理と呼ばれる方式です。

また他に、粉末活性炭処理というのもあり、高度浄水処理にはあたりませんがこれも一種の高度浄水処理とされます。高度浄水処理水の品質の信頼性は、水をペットボトルなどに詰めて配布・販売している水道局もあることからもうかがえます

導入の進む高度浄水処理

水面

国内では主要大都市を中心に導入が進んでいます。とくに大阪府下においては、現在、全量高度浄水処理導入が完了しています。東京都では、平成25年度完了を目標に全量高度浄水処理導入が進展中です。他には千葉県、京都府、兵庫県などで導入が進んでいます。

おわりに

現在、日本の高度な水処理技術を海外に展開していこうという動きも、自治体や企業規模で起こりはじめています。世界をみまわしても水資源の確保はこれからの大きな命題です。水ビジネスをはじめとして、将来的に日本の水技術が世界に貢献していく可能性はじゅうぶんあるといえます。

近年、環境問題や生活の安全性に対して、ますます社会的関心が高まっている中で、生活の基盤である水道水の品質を確保することは極めて重要なテーマです。加えておいしい水道水の実現は浄水技術の向上だけでなく、周辺環境の向上・改善も必要不可欠であることも忘れてはいけません。

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